ピースクラフツSAGA 佐賀の伝統工芸を支援するプロジェクト
つくり手

浮立面

伝統芸能の面作りから発展した「浮立面」

彫刻がしたい―。その一心で彫り続けて63年

鹿島地域の彫刻「浮立面」は、佐賀県南西部に広く伝わる郷土芸能「面浮立」の面作りから発展してきた木彫の技です。面浮立は鉦(かね)や太鼓の音に合わせ、腹につけた鼓を打ちながら踊る伝統芸能(佐賀県重要無形文化財)。鹿島市には約300年前の作と推定される古い浮立面も文化財として伝わり、面を打つ木彫の技も祭礼とともに続いてきました。この浮立面を彫る面師のひとりである中原恵峰さんも、浮立面をはじめ木彫の兜や雛人形、置物や菓子木型など、暮らしに根付いた品々を彫り続けています。
中原恵峰 「私が木彫の道に入ったのは昭和29(1954)年のこと。やっぱりモノづくりが好きだったんですか。当時はまだたくさんの地区で浮立をやっていて私も浮立を踊っていましたし。彫刻がやりたいというただその気持ちだけで。15歳のことでした。当時は修行に休みもなくとにかく厳しかったのですが、この修行で<耐える>力がついて、ここまでやって来れたんだと思っています」。 _DSC10424A

魔除けの願いを込めて彫る浮立面、影の道具の菓子木型も

「弟子入りした当時は今と違って、落雁や生菓子の菓子木型の注文が多かったですね」。佐賀は長崎からもたらされる砂糖の影響で菓子づくりも盛んですが、和菓子の木型はいわば影の存在。この木型を彫る職人は全国でも数が少なく、今では貴重な技となりました。
_DSC10478A 「木彫で大事なのは素材。山中の自然の中で育った目の詰まった木の堅さ。いい材料で作ったものとそうでないものは、彫り上げた品を一見しただけで、誰でもわかる。目の詰まった材料は仕上げた時の艶が違うんですね。飾り置く浮立面を注文される方は魔除けの気持ちも強く、私も願いを込めて九州北部で採れたクスノキを、実用の踊り用には軽い桐を用いて彫り上げます。道具として耐久性を考えると木型にはタブの木などを。浮立面も素材同様に何十年・何百年生き続けるように、いい素材を使うと、作品づくりにも自然と心がこもります」。 _DSC09931A

お客さんが振り向いてくれて成り立つ「モノづくり」

ここまで63年彫刻を続けて来て大切なのは、自分のからだにも神経を使うこと。工房は息子が継いでくれると思うんですが、工房が2代目3代目と続いていけば、初代はこんな作品を残した、と思ってくれるような作品を残したい。面浮立は文化財の伝統芸能ですから、彫る浮立面もいつかは文化財になれるように。彫刻を<趣味>でやる方は多いんですが、職人としての<プロ>となるとこれは大変。いいモノを作ってもお客さんが振り向いてくれないと、生活が成り立ちませんので、息子も大変だとは思いますが、道を切り開いて欲しい」。

中原恵峰工房
浮立面
住所:鹿島市西牟田3480-4
TEL:0954-62-0872
営業時間:9:00~17:00

県内の伝統工芸制作者の課題や方向性は同じではありません。しかし、ひとつひとつ手作りで作られる工芸品を「より多くの人に知ってもらいたい、長く使ってもらいたい」という想いは一緒です。その想いをカタチとして届けるため、PWJは今後、さまざまな活動に着手します。佐賀の伝統工芸をまだ知らない人々へ向けての情報発信、チャネル開発、生活様式や生活者の意識の変化に対応した商品づくり。海外市場を見据えた商品開発や展示会の開催も計画中です。
次のステージを目指す伝統工芸のつくり手を支援することにより、PWJは佐賀県の地域振興に貢献したいと考えています。

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