ピースクラフツSAGA 佐賀の伝統工芸を支援するプロジェクト
2017年4月30日

繊細で優美な織物の魅力をインテリアに

レベラションに出品する「波紋 市松」
レベラションに出品する「波紋 市松」

佐賀錦をインテリアに

 金箔や銀箔を貼った和紙を細く裁断して経(たて)糸に、色とりどりの絹糸を緯(よこ)糸にして織り上げる佐賀錦。この伝統的な織物の魅力を海外の人々にも知ってもらう良い機会になるのではと、佐賀錦振興協議会は2017年5月に開催されるパリの国際工芸フェア「レベラション」に出展することを決めました。
 出展にあたり、出品作品のデザインに携わったフランスのデザイナー2人は、佐賀錦を円形トレイの一部に採用することを提案。曲木で円形トレイを製作し、その側面に佐賀錦を張り込み、これまでにはないインテリアアイテムにすることを考案したのです。「私たちは佐賀錦の魅力を最大限に引き出すことを日頃から重視して、雛人形やバッグ、名刺入れなどの作品をつくっています。トレイの側面だけに使うという発想はまったくありませんでした」と前会長の前島梅子さん。

 

佐賀錦振興協議会会長の松本美紀子さん

佐賀錦振興協議会会長の松本美紀子さん

経糸が牛革の作品も

 曲木の円形トレイは、同じく佐賀県の伝統工芸である諸富家具の飛鳥工房が製作しました。それは大中小3サイズの円形トレイで、入れ子にするときれいな波紋が浮かび上がることから、シリーズ名を「波紋」と命名。小のトレイには水色と紺色を基調にした「市松」の佐賀錦、大のトレイには紺色と金色を基調にした「網代」の佐賀錦を張り込みました。
 そして中のトレイで挑戦したのは、経糸に藍染の牛革を使用した新たな織物です。ピースウィンズ・ジャパンの仲介により、京都で着物染色を専門に行っている浅井ローケツと皮革の開発を行っているホリイに協力を依頼し、天然灰汁発酵建本藍染の牛革「スクモレザー」を提供してもらうことになりました。これを細く裁断して経糸にし、従来の絹糸を緯糸にして、佐賀錦の技法で織り上げました。

 

織り台にセットした経糸を竹べらで拾い緯糸を通す

織り台にセットした経糸を竹べらで拾い緯糸を通す

新開発の織物が完成

 試作段階では、金箔や銀箔を扱うように、牛革の裏に和紙を貼った状態で織ってみたところ、「牛革と和紙では収縮率が異なるため、締まりが悪い」という結果に。そこで最終的には、裏に和紙を貼らずに、ひも状の牛革を経紙のように成形し、それを織り台にセットして織ることになりました。ところが締まりが良くなった代わりに、「模様を拾うための竹べらが容易に滑らず、力が要って苦労しました」と、製作に携わった副会長の大島洋子さんは振り返ります。
 こうした苦労を伴いながらも、新開発の織物はできあがりました。これは箔紙と絹糸で緻密に織り上げる佐賀錦の定義には当てはまらないものですが、「佐賀錦振興協議会の会員の中には、新たな織物としては面白いという声もありました。文化が違う海外の人々の反応も楽しみにしています」と会長の松本美紀子さん。また、作品を通して「繊細で優美な佐賀錦の技術を見てほしい」と言います。

 

デザイナーらと打ち合わせする佐賀錦振興協議会幹部の皆さん

デザイナーらと打ち合わせする佐賀錦振興協議会幹部の皆さん

 

ピースクラフツSAGAは、まもなくパリで開催される国際工芸フェア「レベラション2017」に出展します。世界のファインクラフトが一堂に集うレベラションは、佐賀の伝統工芸が新しい一歩を踏み出すのに相応しい場であると確信します。特集記事ではレベラションに向けて最先端工芸に取り組むつくり手たちをご紹介します。第2回目は佐賀錦です。

 

県内の伝統工芸制作者の課題や方向性は同じではありません。しかし、ひとつひとつ手作りで作られる工芸品を「より多くの人に知ってもらいたい、長く使ってもらいたい」という想いは一緒です。その想いをカタチとして届けるため、PWJは今後、さまざまな活動に着手します。佐賀の伝統工芸をまだ知らない人々へ向けての情報発信、チャネル開発、生活様式や生活者の意識の変化に対応した商品づくり。海外市場を見据えた商品開発や展示会の開催も計画中です。
次のステージを目指す伝統工芸のつくり手を支援することにより、PWJは佐賀県の地域振興に貢献したいと考えています。

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