ピースクラフツSAGA 佐賀の伝統工芸を支援するプロジェクト
2017年5月11日

潮の満ち引きと時間の経過を表現

レベラションに出品するオブジェ「干満」
レベラションに出品するオブジェ「干満」

コラボレーション作品に参加

 2017年5月に開催されるパリの国際工芸フェア「レベラション」に、佐賀錦振興協議会とのコラボレーション作品を出品する飛鳥工房。入れ子にするときれいな波紋が浮かび上がる、大中小3サイズの円形トレイ「波紋」を曲木で製作しました。ピースウィンズ・ジャパンを介して、フランスのデザイナー2人が提案したデザイン画を見て、「ぜひ作りたいと思った」と飛鳥工房の代表取締役、廣松利彦さんは参加の動機を語ります。実はこれまでにも佐賀錦振興協議会とは同じイベントに出展するなどの付き合いがあり、「コラボレーションの機会を増やしたいと思っていた」と言います。
 元々、家具部品の製造から始め、現在は木製玩具やインテリア雑貨の製造販売を行っている飛鳥工房は、諸富家具の中でも異彩を放つ存在と言えます。円形トレイの製作は、多彩な技術と工法を持つ飛鳥工房だからこそできる挑戦でした。それでも、「途中で諦めそうになるくらい難しかった」と廣松さんは振り返ります。

 

 

飛鳥工房の代表取締役、廣松利彦さん

飛鳥工房の代表取締役、廣松利彦さん

 

木をコントロールする難しさ

 曲木で円を作るものの代表に「曲げわっぱ」が挙げられますが、これにはスギやヒノキなどの柔らかい針葉樹を使用します。ところが、円形トレイには硬い広葉樹のブラックチェリーを使用したため、難易度が非常に上がりました。さらに「木は生きものなので、加工すると必ずどこかが歪みます。それをコントロールすることが難しかった」と廣松さん。
 まず、木材を蒸気で蒸して柔らかくしてから、真円の型にはめて固定します。型は耐水合板で製作したのですが、この型作りに時間を要したと言います。なぜなら、木材は湿度の高低によって収縮と膨張を繰り返すため、型から外した後にも少し膨張することが分かり、型のサイズを少し小さめに設計する必要があったためです。
 「試行錯誤を1ヶ月くらい繰り返して、ようやくコツがつかめました。おかげで曲木で真円を作る技術を身につけられました」と、廣松さんは晴れやかな顔を見せます。「時にデザイナーは無理難題を押し付けてきますが、実はこれが良い刺激になります。自分たちだけで商品を企画し製作していると、どうしても楽な方ばかりに流れてしまいますから。普段あまりしない仕事をするのは大変だけど面白い」と廣松さん。

 

工房で木材を切削する廣松さん

工房で木材を切削する廣松さん

 

仕上げの違いで「時」を表現する

 また、直径45センチメートルの木製円盤を2枚組み合わせたオブジェ「干満」も併せて出品します。1枚の円盤は流木のように粗い木目のスギ、もう1枚の円盤は丁寧に磨かれた艶のあるヒノキで、仕上げが対照的な木材を組み合わせることで、時の経過を表現した作品です。これは飛鳥工房がワークショップ用に製作した小さな木製玩具が基になったもので、デザイナーが興味を持ち、オブジェへと発展させました。この2作品を通して、「木の魅力や加工技術を見てほしい」と廣松さんは期待します。

 

飛鳥工房視察

デザイナーらが飛鳥工房のショールームを訪問

ピースクラフツSAGAは、まもなくパリで開催される国際工芸フェア「レベラション2017」に出展します。世界のファインクラフトが一堂に集うレベラションは、佐賀の伝統工芸が新しい一歩を踏み出すのに相応しい場であると確信します。特集記事ではレベラションに向けて最先端工芸に取り組むつくり手たちをご紹介します。第3回は飛鳥工房です。

 

県内の伝統工芸制作者の課題や方向性は同じではありません。しかし、ひとつひとつ手作りで作られる工芸品を「より多くの人に知ってもらいたい、長く使ってもらいたい」という想いは一緒です。その想いをカタチとして届けるため、PWJは今後、さまざまな活動に着手します。佐賀の伝統工芸をまだ知らない人々へ向けての情報発信、チャネル開発、生活様式や生活者の意識の変化に対応した商品づくり。海外市場を見据えた商品開発や展示会の開催も計画中です。
次のステージを目指す伝統工芸のつくり手を支援することにより、PWJは佐賀県の地域振興に貢献したいと考えています。

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