ピースクラフツSAGA 佐賀の伝統工芸を支援するプロジェクト
2017年6月20日

世界と共鳴する「工芸最先端宣言!」

レベラションの主催者であるフランス工芸作家組合のオード・タオン会長と、レベラションの総合キュレーターを務めるアンリ・ジョッベ-デュバル氏
写真:Julie Rousse
レベラションの主催者であるフランス工芸作家組合のオード・タオン会長と、レベラションの総合キュレーターを務めるアンリ・ジョッベ-デュバル氏 写真:Julie Rousse

 ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)が出展した国際工芸フェア「REVALATIONS(レベラション)」には、約380組の出展者が16カ国から参加し、およそ4万人の来場者が訪れました。レベラションを主催するフランス工芸作家組合(Ateliers d’Art de France)が推進するのは、ファインクラフト運動です。PWJが佐賀で行っている伝統工芸支援事業ピースクラフツSAGAが掲げる「工芸最先端宣言!」同様、伝統を基礎に工芸を進化させ、新たな市場を形成するその真意を、レベラションを代表する主催者2人に聞きました。

 

ピースクラフツSAGA(以下、PCS) まず、オード(Aude Tahon/フランス工芸作家組合会長)さんにお聞きします。フランスの工芸界の現状や新しい動きについて、教えてください。

オード いまフランスでは、日本同様、伝統工芸が危機に直面しています。しかし、一方で、工芸作家や職人は、素材に向き合うクリエーターとして新しい作品を作っていくことに価値を見出し始めています。難しい点は、個々の作家や職人の活動が小規模で、市場に対応できていない点です。つまり、自分の作品を売っていく困難さに新たに直面しています。だからこそ、我々組合は、彼らと市場を直接つなげるレベラションのような運動に取り組んでいるわけです。

PCS 日本にも、工芸作家自身が何か変わっていかなければならないのではないか、あるいは新しい挑戦をしていかなければならないではないかという機運が高まっています。

オード いまフランスでは、工芸作家や職人がデザナーにのではなく、素材に向き合うアーティスト(artiste de la matière)を目指す動きが生まれています。そんな我々が作る作品をファインクラフトと位置付けています。

PCS ファインクラフトは、我々PCSが掲げる「工芸最先端宣言!」に通じる考え方だと思います。工芸とファインクラフト、あるいはファインクラフトと美術の関係をどのように理解すればいいでしょうか?

オード ファインクラフトは、これまでの工芸より高い創造性を持ち、美術に匹敵する価値を持つための新たな挑戦です。この分野は、経済的にも成長分野だと信じています。PCSもそうお考えでしょう?

PCS はい、そのとおりです。今度は、アンリ(Henri Jobbe-Duval/レベラションの総合キュレーター)さんに聞きたいのですが、レベラションは今回で3回目の開催になります。このレベラションが生まれた背景とその目的について教えてください。

アンリ とにかく、ファインクラフトの価値を世界中の人たちに見てもらいたいという思いで立ち上げました。作り手が素材と誠実に対話していることが、このレベラションの原点なんです。また、世界中のあまり知られていないファインクラフトを知ってもらうことにも大きな意味があります。それは、我々のファインクラフト運動を世界中に広げるためです。そこで、第1回の開催から、名誉招待国という制度を設けました。その国独自の素材を通じて、固有のファインクラフトを知ってもらおうというわけです。第1回の名誉招待国はノルウェーで、2回目は韓国でした。そして3回目の今回、チリを名誉招待国に選んだのも、こうした意図があるからです。

PCS 日本の工芸に対して、お2人はどんな印象や評価を持ってらっしゃいますか?

アンリ 日本の工芸の特徴は、日常生活とのかかわりにあると思います。日本では、日常生活の中で美術作品のような工芸品を暮らしの道具として使っていますね。また、素材の使い方にも特徴があります。素朴な素材を使いながら、表現や技法は繊細でエレガントです。

オード そうした意味で、日本には素材に誠実に向き合う作り手がたくさんいると思います。いま必要なのは、そうした作り手をつなげて、未来に向けて発信していく運動ではないでしょうか。レベラションはそうした活動の受け皿になりたいんです。ファインクラフト運動が重視しているのは、競争ではなく、対話です。世界中の優れた作り手が、固有の価値を持ちながら、レベラションに集うほかの作り手と新しい価値を作ることが最終的な目的です。そこには新しい創造の世界と市場が生まれると信じています。日本の作り手の方々には、自身の力や価値を信じて創作を続け、ファインクラフト運動の仲間になってほしいと思っています。

今回の名誉招待国、チリからの出品。

今回の名誉招待国、チリからの出品。

素材に真摯に向き合いながらも、大胆に表現した作品がレベラションでは目を引いた。

写真:下川一哉

県内の伝統工芸制作者の課題や方向性は同じではありません。しかし、ひとつひとつ手作りで作られる工芸品を「より多くの人に知ってもらいたい、長く使ってもらいたい」という想いは一緒です。その想いをカタチとして届けるため、PWJは今後、さまざまな活動に着手します。佐賀の伝統工芸をまだ知らない人々へ向けての情報発信、チャネル開発、生活様式や生活者の意識の変化に対応した商品づくり。海外市場を見据えた商品開発や展示会の開催も計画中です。
次のステージを目指す伝統工芸のつくり手を支援することにより、PWJは佐賀県の地域振興に貢献したいと考えています。

ふるさと納税でもらえる