ピースクラフツSAGA 佐賀の伝統工芸を支援するプロジェクト
2017年7月3日

緻密で繊細な織りの技法と表現が文化の壁を越えていく 佐賀錦

波紋シリーズにインスピレーションを得たと言うイタリア人建築家のクラウディオ・ブリガンティさん。「これからデザインする家具の一部に佐賀錦を使ってみたい」と言う
写真:Julie Rousse
波紋シリーズにインスピレーションを得たと言うイタリア人建築家のクラウディオ・ブリガンティさん。「これからデザインする家具の一部に佐賀錦を使ってみたい」と言う 写真:Julie Rousse

佐賀錦をインテリアとして提案

 佐賀錦振興協議会は、諸富家具の飛鳥工房と共同で開発したトレイ「波紋」シリーズ3点をレベラション2017の会期中、「ピースクラフツSAGA」のブースに展示しました。大島洋子・佐賀錦振興協議会副会長は、ブース内で来場者に直接説明しました。作品のコンセプトはもとより、実際に使っている織り機を用いた実演で製法や表現方法を解説しました。こうしたプレゼンテーションは、初めて佐賀錦に触れる来場者にとって、佐賀錦をファインクラフトとして深く知る機会になったことは間違いありません。

 

仏人デザイナーが新提案

 波紋シリーズは、飛鳥工房が製作したサクラ材のトレイの側面に、佐賀錦振興協議会のメンバーが織った佐賀錦を張って完成させた作品です。木製トレイの側面に佐賀錦を張って、インテリア要素の強い作品にするよう提案したのは、デザイナーのサラ・ルセール氏、アーサー・ライトナー氏。欧州の生活空間や暮らしのスタイルに合うよう、サイズも適切に設定しました。
 今回、ピースクラフツSAGAが全体のテーマとした「海」と「時間」のイメージを青色の糸を駆使して表現しました。「波紋 網代」では、日光の水面での反射を思わせる金糸の隙間から見える濃い青が作品に深みをもたらしています。また、水色と青のグラデーションが豊かな作品「波紋 市松」からは、潮騒が聞こえてきそうです。

 

波紋 網代

トレイ(大)「波紋 網代」。直径45㎝、高さ7.1㎝。経糸に青の絹糸、緯糸に金糸を用い、佐賀錦伝統の網代文様を織った佐賀錦をトレイの側面に張った


波紋 矢羽

トレイ(中)「波紋 矢羽」。直径36㎝、高さ7.1㎝。経糸にスクモレザー、緯糸に青の絹糸を用いてあじろ模様を織った。横糸の濃淡で青のグラデーションを表現。スクモレザーは、東京の皮革加工メーカーのホリイと京都の藍染事業者の浅井ローケツが提供


波紋 市松

トレイ(小)「波紋 市松」。直径24.5㎝、高さ7.1㎝。水色と青を基調とした市松模様の佐賀錦を側面に張った

 

異素材との組み合わせが新鮮に映る

 「繊細な織物と質感を感じさせる木の対比が新鮮です。実用的なインテリア小物と言うより、ホームデコレーションアイテムとして活用すべき工芸品だと思います」「サイズ感が良く、飾っておくだけでなく、いろいろなものを載せてみたくなります。例えば、透明なガラスの器を載せれば、きっと美しく映えるでしょう」「建築家として、佐賀錦を使った家具をデザインしてみたいと思いました」「木材と組み合わせる素材が、ガラスや金属、陶磁器ではなく、テキスタイルという点に新鮮さを感じました」など、売り手や使い手のイマジネーションを掻き立てました。出品したトレイはいずれも3000ユーロを超える価格設定だが、来場者からの評価には十分な手応えを感じました。

 

次代に引き継ぐには挑戦が不可欠

 「今回の出品は、佐賀錦という日本文化が欧州の生活文化や美意識に受け入れられるか否かという挑戦でもありました。佐賀錦という伝統工芸を後世に引き継ぐには、伝統技法を守るだけではなく、異文化との融合によって新しい価値を生むことも必要だと感じました(大島副会長)。新たな挑戦による佐賀錦の進化をこれから見ることが楽しみです。
(下川一哉/デザインプロデューサー、エディター、意と匠研究所代表)

 

 

佐賀錦の技法を説明する大島洋子・佐賀錦振興協議会副会長 写真:Julie Rousse
来場者の質問にブース内で織り機を使いながら佐賀錦の技法を説明する大島洋子・佐賀錦振興協議会副会長 

写真:Julie Rousse

 

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県内の伝統工芸制作者の課題や方向性は同じではありません。しかし、ひとつひとつ手作りで作られる工芸品を「より多くの人に知ってもらいたい、長く使ってもらいたい」という想いは一緒です。その想いをカタチとして届けるため、PWJは今後、さまざまな活動に着手します。佐賀の伝統工芸をまだ知らない人々へ向けての情報発信、チャネル開発、生活様式や生活者の意識の変化に対応した商品づくり。海外市場を見据えた商品開発や展示会の開催も計画中です。
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