「ピースクラフツSAGA」は認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)が実施する佐賀の伝統工芸を支援するプロジェクトです。
つくり手

諸富家具を木と異素材のステーショナリーに昇華させたミマツ工芸の実松英樹さん

ミマツ工芸の諸富家具は家具で培ってきた加工の技を木と異素材の組み合わせで進化させたステーショナリーで、ピースウィンズ・ジャパンのふるさと納税の返礼品にもなっています。佐賀の風土から生まれた「きれいなデザイン」の逸品を生みだす実松英樹さんにお話を伺いました。

つくり手もやりがいの感じる商品づくりを模索する日々

「諸富家具の進化形」ともいえる、木と異素材を組み合わせたステーショナリーを製造するミマツ工芸は昭和47(1972)年の創業。諸富家具の部品を製造する会社を2代目として引き継いだ実松英樹さんは、18歳の当時を「婚礼ダンスが飛ぶように売れ、部品製作に追われ納品していれば売上があがる時代でした」と振り返ります。しかし景気や他産地の動向を見るなか、40歳になったことを契機に「メーカーから指示された商品ではない、やりがいのある喜ばれる自分たちの仕事・商品をつくりたい」と既存事業からの脱却への模索を開始。「自分が欲しいモノ、世の中にないモノ、消費者に喜ばれるモノ…モノづくりへの想いと市場調査の末にたどり着いたのが、デスク上の小物・ステーショナリーづくりでした」。

「置く」をコンセプトに展開する―ミマツ工芸のM.SCOOP(エム・スコープ)

「最初の頃は木製の携帯電話のカバーをつくっていた」という実松英樹さん。平成20(2008)年には、コンセプトメイキングから販売までをトータルでブランディングしたステーショナリーブランド「M.SCOOP(エム・スコープ)」をミマツ工芸から発表しました。エム・スコープは、「置く」をコンセプトに全15品のアイテムを展開。眼鏡や時計のスタンドなど机上に「置いて」モノを装着することでデザインが完成するステーショナリーです。木と異素材の組み合わせにもそれぞれのディテールにも、長年にわたり諸富家具のテーブルの脚やタンスの扉といったクオリティが追求される部品をつくり続けてきた技術力が大きく反映されています。

デザインを掘り下げ、考え抜くことが個性につながる

「ステーショナリーのような小さいもの・パーツをつくるとなると機械では難しい部分もありますし、シンプルなデザインを追求すると(綺麗だけど)木目が美しすぎて、デザインの邪魔になる場合もあります。商品化にあたってはまずはパーツと色ごとに規格が均一になるようにマニュアル化し、ロットにするまでが大変でした。それぞれの商品のディテールに至るまで、デザインを掘り下げて考え抜くことがエム・スコープの個性かもしれません」。

コンセプトは「風を感じてほしい」―杢(もく)のアイテムも

ピースクラフツSAGAのふるさと納税でお届けするミマツ工芸の諸富家具は、選りすぐりのステーショナリー。佐賀県産のヒノキを用いた「ICHIRIN」や「UROKO tree」「WATCH: Leaf」「p-pen place2」や、スタンドの「GLASS PLACE」「Nenrin Clock」などをセレクトしました。
「エム・スコープでは<風を感じてほしい>というコンセプトのアイテムもあります。がこれは色ではなく杢(木目)にこだわったもの。杢の柄が綺麗に出るデザインを追求しました」。

佐賀という風土から生まれた「綺麗なデザイン」を

「商品をお客様に直接販売するきっかけになったのは、新宿伊勢丹に出品した時だったのですが、当時ぼくらは<佐賀>で商品づくりをしていることを言わないで、とお願いしていました。問い合わせもウェブだけにして。商品の背後にある地域性を隠したかったんです。しかし10年経った今は逆。佐賀という風土のなかからこんな<綺麗な>デザインが生まれた、と共感してほしい。時代で移り変わっている、価値観の変化でもあるでしょうね、今の。この日本の成熟した世界のなかで、なんでこの製品が必要なの?と意味を感じてもらうこと。使って喜んでもらえるモノを世に出していきたいですね」。

公開日:2017年2月22日
 
更新日:2020年6月10日

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