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2018年2月28日

脇役なのに愛でずにいられない唐津焼の魅力

唐津焼作家、岡本作礼さんの黒高麗の縁飾り皿。スーパーマーケットで売られているパック入りのカットフルーツも、これに盛れば、もてなしとくつろぎの一品に

(写真すべて:下川一哉)


 唐津焼は、古めかしい陶器で、現代の暮らしの中では使いにくいでしょうか? いえいえ、そんなことはありません。器の選び方や、その使い方によって、唐津焼は、現代の暮らしの中でこそ輝き、その価値を十分に発揮してくれます。

 最近手に入れて、使う頻度が高い皿が、岡本作礼さん作の黒高麗の縁飾り皿です。唐津焼にしては珍しい黒色の釉薬でしたが、両手で抱えてみると、なんともちょうど良いサイズ。浅すぎず、深すぎず、両手に持って思案していると、盛りたいものが次々に浮かんできました。

 私がお勧めしたいのは、フルーツやトマトなどの野菜を盛る器としての使い方です。朝食や夕食でもいいのですが、日が暮れる前、白ワインやロゼのボトルを開けてくつろぎたい時に、この器にカットフルーツを盛ってみました。面倒だったので、スーパーマーケットで売っているパック入りのカットフルーツを買ってきて、盛るだけの手抜きです。しかしどうでしょう。ガラスや白磁の器に盛ったのでは見ることのできない、優しく落ち着いた雰囲気がテーブルに現れ、時間の流れが緩やかになりました。黒い釉薬の上で、フルーツたちも目を閉じて静かに横たわっているかのようです。

 唐津焼には脇役に徹した器が多く見受けられますが、それは暮らしに寄り沿うためなのでしょう。だから少々思い切った使い方でも、食べ物や飲み物をすんなりと受け入れてくれます。そんな唐津焼だからこそ、愛でずにはいられません。

(下川一哉/意と匠研究所)

 

写真2

カップ、湯のみ、酒杯など、飲み物の器にも唐津焼は欠かせない。小指で高台に触れ、土味のざらつきも楽しめる

 

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下川一哉(しもかわ・かずや)
デザインプロデューサー、エディター
1963年、佐賀県生まれ。1988年、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。同年、日経マグロウヒル(現・日経BP社)入社。1994年に日経デザイン編集に配属。2008年より編集長。2014年3月31日に日経BP社を退社、4月に意と匠研究所を設立。2014年~2016年、佐賀県有田焼創業400年事業デザインディレクター。2016年から、LEXUS NEW TAKUMI PROJECTサポートメンバー。

 

唐津焼を買えるお店 「炎群(ほむら)」

 

JR唐津駅から歩いて数分の距離にある唐津焼専門店。常時、約40人もの唐津焼作家の作品を展示販売しています。店内は皿、茶碗、酒器などのアイテムごとに展示しているので、自分が欲しいアイテムを見つけやすいのが利点。しかも作品に作家の名前は記されておらず、番号のみが記されているのが特徴です。それは「作家の名前ではなく、自分の感性で作品を選んでほしい」という店主の思いから。作家の名前は、壁に張り出された一覧表の番号から知ることができます。

 

TEL:0955-73-5368 住所:佐賀県唐津市呉服町アーケード内  定休日:年中無休 営業時間: 9:00~20:00

 

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