「ピースクラフツSAGA」は認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)が実施する佐賀の伝統工芸を支援するプロジェクトです。

伝統工芸品と私

黒牟田焼窯元、丸田宣政窯の丸田延親さんが語る作家人生を切り開いた卒業制作

丸田宣政窯の丸田延親さんは、ピースウィンズ・ジャパンが手掛ける商品開発プロジェクトEDITION2020にも参加した黒牟田焼の作家です。質実剛健な魅力あふれる黒牟田焼の作品はふるさと納税返礼品でも人気のアイテムになっています。数々の公募展で受賞歴のある丸田さん。その活躍の原点となった卒業制作についてお話を伺いました。

丸田宣政窯に飾られる丸田延親さんの作家人生を切り開いた思い出の作品

黒牟田焼丸田延親_古代想

卒業制作「古代想Ⅱ」

「大学3年生の頃に卒業制作『古代想』の前身となるオブジェのミニチュア版を製作し、県展に出したところ初出展で初入選しました」と公募展への初チャレンジを振り返る丸田さん。「大学4年生の頃に卒業制作として取り組んだオブジェ作品『古代想Ⅰ』と『古代想Ⅱ』は日本現代工芸美術展の中央展に初めて出展し、初入選しました」と作品を眺めながら感慨深く語る丸田さん。「ろくろでは無理な造形にチャレンジしたい」との考えを恩師に相談し、試行錯誤を繰り返し完成に至ったそうです。複雑な装飾を施しているので、焼きの温度管理が非常に大変だったとのこと。「卒業制作でオブジェづくりに取り組んだからこそ、その後さまざまな公募展に公募しようと思うようになりました。この経験がなかったら、ずっと食器ばかりをつくる人生になっていたと思います」。卒業制作がきっかけとなり、丸田延親さんの可能性を大きく広げることになったのです。

公募展へのチャレンジを続け実力を磨いてきた丸田延親さん

黒牟田焼丸田延親_2

「公募展へのチャレンジは、実績になるだけでなく、作家としての幅を広げる良い機会になっています」と丸田延親さんは言います。「昔は、人の作品を見ても自分が一番だと思っている時期がありました」「公募展に出す経験を繰り返すうちに他の人の作品を見てすごいなと素直に認められるようになっていきました」。心がオープンになったことよって、他者の作品から学ぶことができるようになったそうです。公募展は作家や審査員との情報交換や技術交流の場にもなり、丸田さんの作家としての可能性を広げ続けています。「陶芸家や審査員に『丸田さんの作品良いですね』と言われると素直にうれしいですし、やりがいに繋がります」。蓄積してきた知識、磨き続けてきた技術、そして、柔軟な心から生み出される丸田さんの今後の作品も楽しみです。

(写真:藤本幸一郎)

公開日:2021年10月14日
 
更新日:2021年10月14日

黒牟田焼丸田延親_プロフィール

丸田延親(まるた・のぶちか)

陶芸家

1964年陶芸家、故・丸田宣政さんの長男として佐賀県武雄市生に生まれる。1987年九州産業大学芸術学部卒業、佐賀県展入選。以後11回入選・2回入賞。1988年九州山口陶磁展入選。以後6回入選・1回入賞。同年日本現代工芸美術展入選。以後15回入選・1回入賞。1994年日展入選。以後9回入選。2006年日本現代工芸美術展現代工芸賞受賞、日本現代工芸美術家協会本会員に推挙される。2010年西日本陶芸美術展入選。2012年佐賀県陶芸協会会員に推挙される。