「ピースクラフツSAGA」は認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパンが実施する佐賀の伝統工芸を支援するプロジェクトです。
活動レポート
2021年12月16日

2021年度 伝統工芸助成事業 2回目の視察を行いました!

佐賀の伝統工芸事業者の取り組みを支援することを目的として、ふるさと納税による寄付金を活用し昨年から開始した助成事業。

今年は公益財団法人佐賀未来創造基金との共同事業として実施しています。

4月の公募、5月の審査会を経て、8団体の助成対象事業者が決定。決定した事業者には、最大50万円が支給されます。10月に進捗状況確認のため、第2回の視察を実施しました。

 

*渓山窯(有田焼)

助成内容:装置買い替え及び倉庫屋根改修工事

有田焼の中でも「蕎麦猪口といえば渓山窯」と知られる名窯です。今まで2000種類以上の蕎麦猪口を生み出してきました。今回の助成金を活用して、器づくりに必要な装置(高台の仕上げに使う「高台はぎ機」)の買い替えと、生地倉庫の屋根の修復を行いました。高台はぎ機は昭和45(1970)年から使用していて、いつ壊れてもおかしくない状況だったそう。また、屋根の修復をしたことで、「雨から生地を守ることができる」と喜んでいらっしゃいました。安心して製作ができるようになったことで「今後はプロモーションにも力を入れ、たくさんの方にファンになってもらいたい!」とお話しされていました。

 

*大慶(有田焼)

助成内容:新商品開発

常に新しい発想で商品開発を行っている大慶さん。素材にこだわり、デザイン・機能性に優れた調理器具は人気です。コロナ禍のおうち時間で使える商品を開発したいと、有田焼のバターケースの製作に助成金を活用。11月24日から26日、東京の展示会でお披露目されました。バター以外にハム等も保存できるバターケースは、磁器製であるため、においがつかない、冷凍可能、清潔等たくさんの利点があるそうです。抗菌加工も施されるとのことでした。

 

*川上清美(唐津焼)

助成内容:登り窯の修復

力強い作風が特徴の川上清美さん。今回の助成金を活用され、無事に窯の修復が完了しました。「今後も安心して登り窯で製作ができる」と喜んでいただきました! 11月からは修復した窯で窯焚きを行うそうです。川上さんは「唐津に若い人が根付いてくれないと唐津焼が衰退してしまう・・・」と、若手作家の育成にも尽力されてきました。川上さんの元を巣立った作家さんたちは皆さん全国的に高い評価を得ています。今後も修復した窯を使って「薪による焼成でしか出し得ない魅力的な作品をつくりだしたい」と意気込まれていました。

 

 

*健太郎窯(唐津焼)

助成内容:伝統工芸と福祉の連携事業のための窯製作

川上清美さんのお弟子さんで、これからの唐津焼を担うと期待されている村山健太郎さん。現在、一般の方向けに唐津焼成体験プログラムを行われています。このプログラムをさらに拡張するため、窯の増設に助成を活用。体験プログラムを事業のひとつとした唐津焼と福祉事業所の連携も計画中です。「体験を通して唐津焼への興味を持つ方が増えてほしい」とのこと。体験に参加した方からは「焼物を知るいいきっかけになった」「今までとは焼き物の見え方が変わった」などの声があがり、村山さんも計画へのモチベーションが上がっているご様子でした。

 

*鳥巣窯(唐津焼)

助成内容:「茶箱で野点」体験イベントスペース整備

こちらも川上清美さんのお弟子さんで、平成26(2014)年に開窯した岸田匡啓(まさひろ)さん。コロナの影響で以前のようにできなくなった屋内での茶会にかわるものとして、旅先や野外などで行う「茶箱」という古来からの習わしを活用したいと助成に応募。イベントスペース整備のための木の伐採、伐根が完了しました。早速、11月20日、21日に実施された観光協会主催の窯元ツーリズムでは窯びらきのイベントをされたそうです! 「今後もWEBを活用して、茶箱の良さをPRしていきたい」と語ってくれました。

 

*辻与製陶所(肥前吉田焼)

助成内容:新商品開発

嬉野の吉田地区で、創業160年の歴史を持ちながら、柔軟な発想のモノづくりに挑んでいる窯元です。助成を活用して、新商品である冷茶ボトルの型を製作しました。この型を地域で共有することで、各々の窯の得意な絵柄で共通の商品を製作することができます。辻与製陶所さんだけでも、すでに50種類以上のパターンの作品が出来上がっているそう。現在は、どう販売していくかを考えています。陶磁器産地として吉田地区の生き残りを賭けた取り組みをしたいと熱い思いをお持ちで、来年の新茶の時期に合わせて、旅館やホテルへの展示会などにも出品したいと意欲満々でした。

 

*江口人形店(弓野人形)

助成内容:窯の新設

 弓野人形は、佐賀県武雄市の弓野地区でつくられている素朴な土人形です。江口人形店は、弓野人形をつくり続け、来年で140年になります。助成では、古くなった窯を新設。当初予定したよりも人手を要し、大変な作業になったそう。最初は湿気が多くなかなかうまく窯焚きをすることができなかったそうですが、3回目でようやく使えるようになりました。今後は県外の展示会にも出品したいと作品製作にも前向きで、もっと弓野人形の良さをアピールして、売り上げを伸ばしたいと意気込まれていました。

 

*スタジオスポンジ

助成内容:シェアアトリエの設備管理

佐賀県内で作陶に励む、県外出身の菊本有花さん、田端修さん、中倉美咲さんが中心となって、使われていなかった工房を活用したシェアスタジオを設立されました。助成金はアトリエのガス窯の整備等に活用。使えるようになったガス窯を利用して、早速10月に初めての焼成作業も行われ、自由に製作ができる環境になったと喜ばれていました。今後について「スタジオスポンジの活動が盛り上がることで、同じようなシェアアトリエがもっと増えてほしい」「アトリエを活用して技術をもっと向上させたい」と思いを語ってくれました。

 

どの事業者も、今後も前向きに製作活動に取り組む気持ちになられているようです。今後の目標や意気込みを語る姿を目にして、私たちも伝統工芸支援活動へのモチベーションが上がります。

今回紹介した事業者の作品や商品は、ふるさと納税の返礼品や、オンラインショップの商品として取り扱っています。ぜひ下記からご覧ください。

引き続きのご支援、よろしくお願いいたします。

 

*ふるさと納税はこちら

 

*オンラインショップはこちら

※健太郎窯の作品は、オンラインショップではお取り扱いがありません。ご了承ください。