「ピースクラフツSAGA」は認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)が実施する佐賀の伝統工芸を支援するプロジェクトです。

つくり手

鍋島緞通の織元・鍋島緞通吉島家が守り続けた技を継承する織師の古川明美さん

鍋島緞通は佐賀藩の献上品として珍重された木綿の緞通で、ピースウィンズ・ジャパンのふるさと納税の返礼品にもなっています。鍋島緞通の緻密で丹念な手織りの技を継承し、現代の生活シーンに合わせてつくり続ける織師の古川明美さんにお話を伺いました。

佐賀藩御用・献上品としての格式と技法を守り続けて

世界各地に伝わる緞通(だんつう)と呼ばれる織物のなかでも「鍋島緞通」は、色とりどりの綿糸を丹念に織りあげた佐賀発祥の敷物です。江戸時代・元禄(1688~1704)年間に生産が始まり、藩御用の将軍家献上品として、独自の図案の持つ格式と風合いが珍重され続けてきました。一時期は織元が佐賀を離れ、伝統が佐賀から消えたものの、平成に入り織元が復活。名実ともに佐賀の伝統工芸品・佐賀県伝統的地場産品となりました。大正元(1912)年創業の「鍋島緞通吉島家」は、この鍋島緞通の技を守り続けてきた織元です。

単純な作業を繰り返す―年を重ねて覚えていく仕事

鍋島緞通吉島家の古川明美さんが鍋島緞通を織り始めたのは12年前のこと。「鍋島緞通は図案を見ながらタテ糸をつまみ上げ織り糸を絡ませ片結びし、糸を叩いて締める作業を繰り返して織り上げます。<目を使う・肩を使う>の単純作業ですが、糸の結び方や締め方、糸の切り方が常に均一にならないと、織りが乱れてしまいます。なかなか体が慣れていかないから、頭を使うというよりも、体で覚えるしかないんですね。糸を締める力の加減も、機械だと力を数値化できるのでしょうけど、手仕事の力加減は教えることはできませんよね。5年もすればまあ一人前、といえますか」。

織り手・職人に求められる緻密さと丁寧さ

「私たち織手そのものが機械というか道具なんです。毎日が同じテンションでないと。気分や体調が乱れると織りにすぐ出てしまう。シンプルな技だからこそ、一枚一枚つくりながら、年を重ねながら、単純な作業を繰り返しながら覚えていくしかないんですね」。
鍋島緞通の伝統的な規格は(京間の)1畳サイズ。1段に180回以上の片結びを施し、1段ごとに締め固めて約320段を織りあげるという作業が必要だといいます。「織り上がった後も糸くずを取り除いたりして仕上げるのですが、最後まで気が抜けません」。緻密で丁寧な仕事こそ、鍋島緞通が100年を経ても変わらず、代々にわたり使い続けられる質の証です。

使い続けて魅力が増す鍋島緞通を100年後の「未来」にも

現在の鍋島緞通は伝統の京間サイズの他に生活のスタイルに合わせ、様々なサイズのものや一部に機械を使った敷物も織られるようになりました。「冬は温かく夏は涼しく感じる、日本の気候にあった敷物です。年齢問わずに日常生活のなかで使っていただきたいですね」。ピースクラフツSAGAのふるさと納税でお届けする鍋島緞通吉島家の鍋島緞通は、徳川侯爵家のお留柄(オリジナル)を復元した最高の逸品から、玄関サイズや座布団サイズにリサイズした手織緞通に機械織の「新鍋島」まで、伝統の蟹牡丹や雷文の模様が見事な品々を揃えました。

百年後の未来にも使われ、織られ続けてほしい

鍋島緞通吉島家のショールームでは、100年近くの時を経た鍋島緞通が現役の敷物として使われていることもあり、お客様から古い鍋島緞通のメンテナンスを依頼されることもあるとのこと。「鍋島緞通は1枚持っていると<気持ちいい>と人にも誇れる品だと思います。そして何年も使い続けているうちに木綿の風合いも変わり<味>が出てくるところも鍋島緞通の魅力です。今まで続いて来た歴史をそのまま未来へ引き継ぎいていくのが私たちの役目。鍋島緞通が100年後の未来にも使われ織られ続けていれば―と願っています」。

公開日:2017年2月22日
 
更新日:2020年3月27日

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